アオウミガメの百年/楽恵
 




小さな南の島の
星砂の浜に
小さな青海亀が生まれました
波の泡のように柔らかな水色の甲羅を背負った
たくさんの子海亀たち
まあるいお月さまの浮かぶ晩
砂浜から元気よく
海のしら波に乗り出していきます


でも仲間のほとんどは
海に入るとすぐに角をはやした大きな魚に食べられてしまいました


小さな青海亀
あっというまに
いっぴきぽっちになりました
生まれたとき
とても柔らかかった背中の水色の甲羅は
敵から身を守るため
すぐ岩みたいに青く硬くなりました


それからは夜空を煌々と照らす
お月さまだけ
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