どこにも残らないのにみんなそのことを覚えている/ホロウ・シカエルボク
っそう燃え上がったのかも
紅茶のカップを洗ってあげようかという気持ちになったけれど
腰を上げるのにはもうひとつ何か決定的なきっかけが欲しかった
詩集を取り上げてもう一度読もうかとも考えたけど
途中から詩を読むということをまだ頭が許さなかった
多分僕は気分に左右されすぎるのだ
去年の今頃には恋人がいたのだが
今年の春に彼女は僕の恋人ではないものになってしまった
窓の向こうで雪が降り続いている
雪というのは不思議なものだ
どこにも残らないのにみんなそのことを覚えている
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