観察/山中 烏流
 
そうして
それを卑しさへと当てはめては
また、私を、を繰り返した


  
私は常にみられている



散り散りに遊んでしまうのは
およそ思考だけではなくて
きみを思うような、その単純も
遂には
そして、捻れるように



  ***



きみを私が羨むとき、
その周りでは
数えようも無いほどの人々が
様々な考えを巡らせていて

色々に過敏な、きみだというのに
そのときばかりはどうしても
私のどんなこえも
聞きこぼしてしまうらしい


きみの首に下げたイヤホンから
流行のロックンロール・ミュージックが
聞こえて



私が目を逸らした先の水面から
何かが跳ねたような音が






  
そして、静寂





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