朝の儀式/窪ワタル
ッテルは重い
「わかりません。」
というには歳を取り過ぎているわたし
特にかわいいわけでも
友達が多いわけでもないわたしは
当たり障りのない笑顔と偏差値で武装しなければ
制服は着れない
忘れた頃に水をやっていた鉢植えのサボテンが
まるで待ち侘びられたかのように
初めての花をつけた
離れて暮らす祖母が貰ってくれというので
これも今後のお年玉のため と
仕方がないので置いてやることにしたんだった
わたしはもうどうしていいのかわからなくなった
おもわず舌打ちをしたものの
その小さな黄色い花は
放置しておくにはあまりにきれい過ぎたのだ
こうして朝の儀式がまた一つ増えてしまう
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