虹を駆ける少女/楽恵
青銅製の戦士像
錆付いた彼の硬い頬に
涙がひとすじ
流れてる
多感な彼女は
どこにいてもそれが分かる
神様のように優しい雲たちが
どんなに慈悲深く
覆い隠そうとしても
生れ落ちたばかりの赤子に与えられてしまう運命や
永遠の決別のために出会う恋人のこと
少女は
顔をあげたまま
まっすぐに立っている
太陽に許されている限り
降る雨はどこまでも感傷的だから
花々の種子を運ぶ風に
透明の粒が乾いても
まだ
瞳を閉じて
恋に恋している
夢を夢見ている
小さな紅の
ペディキュアだけを武器にして
雨あがりの空に
少女
虹をかける
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