蛙の黄昏/……とある蛙
ぬめぬめとした
自分を抱き締めた。
皮膚呼吸をしているはずなのだが、
何かを塗りたくてたまらない。
空には暗いグラデエーションの夕暮れ
丘に登って見上げている僕は
ぬめぬめとした
自分を抱き締めている。
夕日は藍色をしていて
空の上澄みは白かった
白い上澄みの先に星が見える。
その星を掴もうとしてもとどかない。
そうさ黒は無い。
くっきりとした黒は無く
暗いグラデエーションが
空を覆い。
僕はと言えば
あいかわらず
ぬめぬめとした
自分を抱き締めている。
わきに横たわるおまえも一緒に。
それなのにどうしたものか
酒飲みのくせに
ゲコと鳴いた。
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