冬と玻璃/
木立 悟
棲まうけだもの
表皮の裏に
熱の洞に
腕を廻し指を廻し
傷は陽に褪せたものすべてに円を描く
その囲みのむこうを透し見るとき
曇は雨は雪はまぶしい
爪をたて 空に爪をたて
液を滴をまきちらす
ただあたたかく手に重く
灰も鉛もつづき響く
曇を砕く力から
葉をめくるひとつの指先へ
常に常に降りそそぐもの
浴びてはこぼれ かたち描くもの
光は遠く遠去かる
雨は目を閉じている
橋と指は共に静かに
朝へ至る水を揺らす
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