青と白/木立 悟
緑の角
緑の棘
まわりつづける輪のような
雨の花
光の花
髪を 胸を 流れ落ちる
痛みを知らない白の蝶と蛾
痛みの青をすぎてゆく
傷の間を流れる花が
見えない羽にせきとめられて
思いがけないところから
思いがけないところへと落ち
はじめて音をたてるとき
白は淡い灰に照らされ
青は自らの白を知る
朝の雨が入りこみ
水のはじまりを青に示した
坂を 丘を のぼるもの
丘のむこうの岬に至るもの
みな弱々しくからだをひらき
割れんばかりの光を浴び
生まれくる水を見つめていた
地から空へ
空から地へ
布の柱が現われて
のぼるものも おりるものも
歌うものも 舞うものも
光の足跡を残してゆく
見えない羽を残してゆく
遠去かる雨が道に映る
青は白を見つめて立っている
心を 視線を 巡らせながら
髪を 胸を
異なる花で飾りながら
終わるまぶしさ
はじまるまぶしさへと歩いてゆく
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