上手に息ができないとしても
あの海のように世界はひどくしょっぱくて
ひりひりと小さな傷や大きな悲しみにしみてくる
だからというわけでもないけれど
そう たとえば空を飛ぶ自分を想像してみたい
両手を水平にして風をとらえる刹那を抱きしめ
そう 呼吸を忘れてもいいくらいの自由を求め
水面下から見上げていた青に向かって飛び出す
空気って軽いからわたしをいつまでも支えられない
落下する衝撃をおそれていたらいつまでも変わらない
ふたつがつりあわないからこそ必要な勇気
たとえば泣きたいくらいの悲しみや
たとえば泣きたいくらいの喜びを
たとえば
そう この世界では涙は海と同じような味がするから
誰も気づかないような淋しさをふりきって
あの青がにじむ景色の中で
キラリと光ってみせるんだ