Ridges of December/瀬崎 虎彦
 
side A
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夏みかんの色彩
まばらに宇宙は羽毛に反射して
僕たちのミクロは誰かのマクロ
ヴォルテールだって苦笑してる

夏みかんの潮騒
冬になっても春になってもここで
あなたの帰ってくるのを待っている
気をつけなくては気がつかないだけで

パウダースノーかと思えば
それは三時過ぎの午後の日差し
うたた寝をしてしまって本が床に

まどろみのなかで僕は泥のように
やわらかい意識に抱かれて
今より高い声でシューベルトを歌う

side B
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12月に持ち越された
11月からの問題たち
靴紐を固く結んで
師走を迎える

銃口のミントキャンデ
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