並木道に舞う飛行機/あ。
 
落とした飛行機はこつりとぶつかり
そのあまりにもかすかで控え目な感触に手を伸ばすと
やけに勇ましい絵が描いてあったりして
何とも言えない裏切られたようなやるせない気分になる



そんなことを思い出すのは
冷たい風に押し出されてひっきりなしに降りかかる
赤い紅葉や黄色い銀杏のせいだろう


きちんと等間隔で植えられた並木道は
はらはらと地面を彩ってゆく
途中に立ちふさがっているわたしは
彼らの進路を強制的に変更してしまい
その際にこつりこつりとかすかな感触を残し


とうに風化してしまった小さな出来事を思い出させ
帰ろうとは思わない過去をひとつ手のひらで撫で
前に続く見えない線路をよそ見しながら歩く
小さい頃に流行った映画じゃないけれど
実は誰かと一緒に歩いているのかもしれない
ありがちな話だけど
脇には名もない綺麗な花が咲いているかもしれない


ふらふらと時々転んでしまうけれど
紙飛行機だってちゃんと飛ぶんだし

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