降り来る言葉  XLIV/木立 悟
 
がそのまま星である音
手のひらを手のひらにひろげても
けして手のひらになれぬ音


ふりかえりつづける瞳の内に
見知らぬ昼の宙宇があり
なにかに接するたびにまたたく
八に輪に背に 鬼の光に


ひとりのふりさえ捨てながら
放つ緑をさらに放ち
くぐれぬものさえくぐりきるもの
冬に削がれ 幸に削がれ


先の見えない昼の道
水を巡る水の暗がり
偽りとほんとうのこがねから
全など無いかのように降る話し声


けだものの火に砕かれた手も
畑のなかに消えた片羽も
虹のはじまり虹の終わり
触れることなく在るものを視る


もうずっと渦のもの 渦のもの
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