嵐の後の海岸にて/
楽恵
一緒に打ち上げられていた
野良犬がそれは河童かと尋ねたので
僕はそのミイラが人魚だと教えてあげた
海に河童はいない
月夜に吠える狼が街なかにいないように
遠くの海に
鯨の群れが見えた
鯨は潮を吹きながら
朝日の光をあびて金色に輝いていた
僕と僕の相棒の野良犬は
鯨たちが水平線の向こうに見えなくなるまで
いつまでも飽きずにその姿を眺めていた
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