最後の人類が笑った日/嘘而
「冥王星が死にました。」
炭酸ジュースに入れられた少女は、僕を見てそう言った。
不透明な観覧車にのって
星と廃棄物に包まれた
この街を、見る。
2秒間だけ目を瞑り、
世界の悲鳴を、聴く。
(やがて水になる・やがて空になる)
君の体と、僕の心臓
コンクリートの冷たさを感じながら
ビーカーに注がれた
約0.5ℓの腐水を、
透明なガラス棒でかき混ぜる。
(真っ白いよね・うんそうね)
なんて
意味のない会話がきこえてきた。
「冥王星の死体は、下水道にでも流してあげて下さい。」
炭酸ジュースの中で溺死した少女は、僕を見てそう言った。
脳と肺が、ゆっくりと溶ける。
世界の果てを目指しながら
僕は、歩く。
今この瞬間、
明日にはもう忘れているのだから
いっそのこと、愛のない恋をしよう。
無重力の世界で
君とキスがしたいのだ。
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