創書日和【謝】謝辞/大村 浩一
言葉を家へ持って帰る
言われてしまったことを
言わずにおいたことを
持って帰っても
家の人には言わない
代わりに別のことを言う
家の人が安らぐことを
自分の気散じになることを
そうすることで
言わずにいる自分を支えておく
いまのあいだだけでいい
日々が過ぎれば
言わずにおいたことは
言わなくても良かったことになる
言葉が無くなれば
ぜんぶ無くなる
ただ私も無くなる
それが嫌で
こつそり石に名前を刻んでみたが
名の無いひとに妬まれ
削り取られた
2009/11/27
大村浩一
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