秋括る菊理姫/
海里
ささやかれた一言は
言挙げされたその内容は
隠されたまま永遠に失われました
秋括る菊理姫は以来
ずっと口を閉ざしたまま
幾恒河砂の
森の木の葉の
とあるひとひらが
水面か土かアスファルト
舞い降りて触れてかさりとひとつぶ
呟かれ囁かれたそのささやきなどに
そっと耳を澄ませ続けています
きく科の花は筒状花
うさぎの耳のように細長い花のひとつひとつが集まって
パラボラのような形をつくっているものです
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