秋括る菊理姫/海里
 
ささやかれた一言は
言挙げされたその内容は
隠されたまま永遠に失われました

秋括る菊理姫は以来
ずっと口を閉ざしたまま

幾恒河砂の
森の木の葉の
とあるひとひらが
水面か土かアスファルト

舞い降りて触れてかさりとひとつぶ
呟かれ囁かれたそのささやきなどに
そっと耳を澄ませ続けています

きく科の花は筒状花
うさぎの耳のように細長い花のひとつひとつが集まって
パラボラのような形をつくっているものです
戻る   Point(2)