アパートの隅で/番田
誰もいない
誰もいないということの
その 誰かの誰かである 誰もいなくなった誰かへの
誰である 誰なんだ
街は荒れ果てていて
通りは大通りと呼ぶには
溶岩のように荒廃していた 天使のものだった水は
空気をかすめた きれはしだった
壁は 茶色だ
主張する 他のなにかではない 壁であることを
壁の中の壁にさせられたのだろうと
つまり壁の中の壁とは ただの壁であることだった
カジノという 夢みたいな会社で
夢みたいな金を人から搾取する 毎日は
イギリスの大気の虚無のような激務だ 身を任せれば
人の幻の笑顔に 僕の汗は滴でもなく
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