傷の広場/木立 悟
ひろがる
道に降る蒼
つばさ打つ枝
傷は指さず 傷は負う
重さはこだまし こだましつづける
歩めぬものに夜はやさしい
衣のかたちの楽器を着せる
多胎児の街が空を獲り
うたうことなく記号を並べ
手をつなぎ また手をつなぎ
渦の壁を建て 渦の壁を建て
たなびくことの飽和から
遠い爆発をくぐりぬけ
降りつづくものに身を射られ
水の際にたたずむもの
壁から離れ
夜の砂に沿い
泣いている花を
光を抱く
痛みをたどり 冬に着き
手のひらの地図を閉じるとき
傷は新たな標となって
水の際に点滅してゆく
あざやかな苦しみの青空を経て
目を失い また取り戻し
夜と夜の諍いから降る
迷いの影をふちどってゆく
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