だれもいない部屋/
草野春心
だれもいない部屋は/仔犬のように眠っている
机上の日めくりカレンダー/無数の架空の幾何学模様
夏の午後の光と影に/わすれられた時がにおう
(去る/ぼく/わたし
去る/きみ/あなた
去る/われら/去る
(もしもし?/だれか
もしもし?/「……」
ワイングラスをつつむように/やわらかい手が延びてきたら
おやすみをいって閉じる/だれもいない部屋
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