わたしが変化していた頃/あ。
 
だった頃のなごり


きみのすき間からこぼれおちたため息は
体毛の退化した肌に巻きついてきて
体毛の進化した髪をそよがせてきて
溺れないようにかき分けながら酸素を探す


左腕に目を落とすと
小さなうろこが一枚生えていた
それを剥がすべきかそのままにしておくべきか
わたしはいつまでも迷っていた


遠い昔の思い出話
今の姿をあの頃のきみが見たら
一体なんと言うんでしょうね

戻る   Point(16)