わたしが変化していた頃/あ。
 
わたしがうさぎだった頃
この世は赤いもやがかかっていた
花びら一枚にも手が届かないので
うつむいてありの行列を眺めるしかなかった


わたしがひなどりだった頃
飛び立ちたくて仕方がなかった
あの子が欲しくてたまらないのに
小さな巣箱からただ鳴くばかり


わたしたち、繰り返し変わり続けている
いつかどこかの星に到着するかもしれない
豊かな土壌の仕組みを覗き見出来るかもしれない
いや、もしかしたら今が最後で
もう二度と変わることがないかもしれない


涙のあとに瞳を赤く腫らしてしまうのは
うさぎだった頃のなごり
ついばむような口づけを好むのは
ひなどりだっ
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