二ページ目に恋の一文字/光井 新
 
した。ショートケーキの苺になりたくて、その日は赤い洋服を選びました。
外に出ると、お隣のアキラ君が雪だるまを作っていました。アキラ君は、元気良く挨拶をすると、「この雪は俺が降らせたんだぜ」と言いました。アキラ君は最近、三次大戦前の、自分の名前と同じ「AKIRA」とかいう題名の、漫画というシールカルチャーの本に夢中で、その影響で超納涼力ってやつに目覚め、なんやかんやでこの雪を降らせたそうです。「寒気がするだろ?」、アキラ君は得意気に語っていましたが、私にはさっぱり解りませんでした。三次大戦の事や三次大戦前の事なんて、パパもママも、学校の先生も、大人達は何も教えてくれません。昔の事を調べようとしても
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