テーブル/草野春心
テーブルのうえに
置いた世界から
悲しみはあふれて
ひっそりと暮れていった
それはどこか
幼い娘の
手のひらの匂いがした
いつのまにか
夕日は在って
それから翳っていった
いつのまにか
ぐにゃりとした闇が
ぼくの背後に溜まっていった
ミック・ジャガーは今日も
かすれた声で歌っていた
ぼくの耳に向けて
ひとひら
ひとひら
詩は沈んで
こころへと落ちていった
You can't always get what you want.
You can't always get what you want.
テーブルのうえに
缶コーヒーを置いて
アルミの灰皿と
煙草を置いて
ぼくは思い出したかった
いつ
どこで
この匂いと出会ったのだろう
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