臓腑の風景/ホロウ・シカエルボク
まいかどうかなんてその時だけの感覚に違いないんだ
なあ、見えるかい、俺の腹腔、俺のガラ空きの腹腔、俺の生命は駄目になっちまったんだ、だけどそいつはおしまいってわけじゃないんだ
俺の言ってること変かい、俺の言ってることおかしいかい、すでに壊れてしまっている奴にどんなまともさを期待しているって言うんだい、窓の外を俺から零れおちたものたちが泳いで行くのが判るだろう、あれは雲っていうんだぜ
内臓っていうのがしのびなくて俺が名づけた、綺麗だろう、ねえ綺麗だろう、俺から零れおちたものたちが空を流れていく、あの雲を見てくれ、あの雲を見て綺麗だと思っておくれ、そう思ってもらえるんならもう少し見届けたっていい
俺が幸せそうに見えるって?そいつは、多分……
勘違いだぜ
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