ケルト音楽/こめ
壊れたものを修理にだしたけれど
どこの店に行っても直すことができなかった
別れ際のあの不意な涙は
今も僕の掌に落ちて染み付いている
必ずハッピーエンドになるとは限らない
それは自分が一番良くわかっていた
自ら差し出した物は
今は錆び付いて歯車が動かなくなっていた
泣かないように我慢はするよ
でも僕は弱いから直ぐに泣いてしまうだろう
軽快に遠くから聞こえてくるのは
ケルト音楽のあの心地よいメロディ
みんな寝静まった街で
一つだけ灯りがともる店に入った
とりあえずマスターにオススメを頼んで
誰も居ない店内で嘆いた
押しても引いてもそれでも空かない窓からは
僕がけして交わることが出来ない
世界が拡がっていた
羨ましそうに指をくわえて見ていた
森の奥底の演奏会に行きたくて
今日もまたフクロウに手紙を預け
返事が来るのを待った
戻る 編 削 Point(18)