ケルト音楽/こめ
 
壊れたものを修理にだしたけれど

どこの店に行っても直すことができなかった

別れ際のあの不意な涙は

今も僕の掌に落ちて染み付いている

必ずハッピーエンドになるとは限らない

それは自分が一番良くわかっていた

自ら差し出した物は

今は錆び付いて歯車が動かなくなっていた

泣かないように我慢はするよ

でも僕は弱いから直ぐに泣いてしまうだろう

軽快に遠くから聞こえてくるのは

ケルト音楽のあの心地よいメロディ

みんな寝静まった街で

一つだけ灯りがともる店に入った

とりあえずマスターにオススメを頼んで

誰も居ない店内で嘆いた

押しても引いてもそれでも空かない窓からは

僕がけして交わることが出来ない

世界が拡がっていた

羨ましそうに指をくわえて見ていた

森の奥底の演奏会に行きたくて

今日もまたフクロウに手紙を預け

返事が来るのを待った


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