散恋休/木屋 亞万
ラバラと地面に降ってくるのだった
浮かぶことのできない
いくつもの赤い実が
風に遊ばれながら落ちてくる
浮遊、冬、ふうふう、浮遊
小粒のどれでもよかった
ほしい
いくつかあればなお良かった
懐に抱いて眠りたかった
赤い雨の中を深紅の実が降り注ぎ
太陽は海へと傾き始め
あっか、か、赤、あかあか、かあかあ、あっかっか
気球から飛び散る粒はそのどれもが天に昇らず
いままでどうやって飛んでいたのかわからないくらい
浮力を感じさせなかった
どれ一つ手元には降りてこないで
空を見もしないスーツ姿の男の足元にばかり届けられていった
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