散恋休/木屋 亞万
 
気球が一つ空に浮かんで
青と緑と茶色のまだら
金魚鉢に浮かぶ藻と餌の粒みたいに
風に流れていた

赤い雨が降ってきた
金魚が空から降るような空模様だった
気球は塗り上げられ、今にも破裂しそうなくらい熱を持った
紅く色づいてさっきよりも何倍も膨らみ
皮が薄くなって中が透けていった
気球は火照ったように真っ赤っか
ふわりふわりと空を浮かび続けている

血塗られた狐の嫁入りの中をうつろな目をして彷徨う
酔いつぶれた狸の金玉みたいに見えたし
膨らみ続けるガラスの赤ん坊のようにも見えた

つまりそれは恋だったのだ
大地の奥底深くに隠された恋は
ロバの耳を告発する叫びの
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