無街/木立 悟
 
ばかりを指し示し
川のかたちを投げ出しながら
午後の音を乱してゆく


けして雪のつもらない溝
はじめの息の流れる溝に
花や葉や実は澱みつづけ
分ける森 分けない境になってゆく


日々の記述は一巡し
古傷と 新たな傷とがやがて重なり
新たな響きの道として
嘆くものらを導いてゆく


帰る途もなくわたしは帰る
鉄の輪を負い 火を浴びながら
水や空に置き忘れた羽
はじめて聴くものに耳かたむけながら




















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