こうして少しずつ滅びるのだろう(秋)/木屋 亞万
は沈黙の中で物音を遊ばせる
秋の息、揺れるススキの消え入る穂先
月は頼りなげに細長く
人間である私でさえ
増えすぎた人の無神経さに嫌気がさす
立ち入り禁止の柵を取り払って
禁止規則の看板を消し去れば
この庭は、山はどれだけ美しいだろう
枯れた枝垂桜の骨格に海月のような浮遊感が漂う
若き乙女の太腿のような竹が茂る林に秋の指が駆け抜けて
箱庭のような枯山水をやわらかに波打たせる
岩が痙攣でもしたかのように小石は波打ち
曇天の中で小さな糸月が微笑んでいる
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