銀杏/月乃助
もっと話を聞かせてくれませんか
そうしたら、
あたしは、言葉のあいまに置かれた
なだらかな読点【、】に背をもたせ、
気まぐれに口をつぐむあなたの 数知れぬ句点【。】の
小さなそのまるの中に心地よく
うずくまることだってできるのです
そして、じっと言葉の投げかける陰の
あいまいな色に染まった意味を
胸のうちに確かめる
いつか発露される言葉の音の波に、
その隙間に隠れた想いをさがし歩くことだって、
裏側に、きっと眠っている海鳴りの
きびしい轟きだって
耳にすることが
できるのに、
小さなテーブルにつもる言の葉の気息は、
はらはらと舞い落ちる 銀杏
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