夜の魚/さき
あの文字に似ているから
今夜こそ捕まえようと思うんだ
月という船の不安定さをどこまで僕ら
楽しんでいられる?
なじみの香辛料が
食欲をくすぐる街角
窓の光が映る道
孤独という冒険
寒い息の色を感じる
少年は
一人で
空を駆けあがる
もっと大きな世界だと思うの
与えられたものでは足りないと思うの
清浄ってきっと
言葉通りのことじゃない
みつあみをほどいて
裏口から出た
眼下には
ミニチュアの町
少女は
もう
ここには戻らないと
決意した
信じたものって
そうだったのですか
望んだことは
手に入らなくて
でもやっと
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