お家に帰ろう。/狠志
 
忘れ物をしているから、夜の校舎にでも行くのです。

誰も居ない校舎になんて、何の用もないかもしれないけど。

窓ガラスでも割ろうか。

そしたら、誰か着てくれるかもね。

月も寝むった、静かな夜は。

誰も居ないんだよって、僕に囁いてくれた。

帰り道、あの頃と一緒で。

セカイの中で、一人で歩いて帰った。

あぁ、あぁ。

何を忘れたんだっけ。

ろくに喋らないで、ただただ笑って。

黙って。

忘れ物なんてないから、取りに行きたいのかな。

帰り道、ケータイが鳴った。

あの頃には無かったケータイが鳴った。

お家に帰ろう。
戻る   Point(1)