お家に帰ろう。/狠志
忘れ物をしているから、夜の校舎にでも行くのです。
誰も居ない校舎になんて、何の用もないかもしれないけど。
窓ガラスでも割ろうか。
そしたら、誰か着てくれるかもね。
月も寝むった、静かな夜は。
誰も居ないんだよって、僕に囁いてくれた。
帰り道、あの頃と一緒で。
セカイの中で、一人で歩いて帰った。
あぁ、あぁ。
何を忘れたんだっけ。
ろくに喋らないで、ただただ笑って。
黙って。
忘れ物なんてないから、取りに行きたいのかな。
帰り道、ケータイが鳴った。
あの頃には無かったケータイが鳴った。
お家に帰ろう。
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