独白二篇/笠原 ちひろ
 







電車をおりたら、正しい冬の予感がした
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂い!
冬の匂いが冬の匂いで
あたしはとっても幸せだ
今年の冬はシチューのCMみたいな
正しい冬の予感がする
客観的にみればいつもの冬と同じように
いいこともあればわるいこともある
ひとつ違うのは
わたしがわたしに
「幸せでいていい」ときっぱり許可をだしたことだ
覚えの悪い犬を相手にするみたいに
根気よく教えこんだんだ
幸せでいていい
幸せでいていい
幸せを感じる権利がある
たとえどんな状況にいたって
幸せを感じる権利がある
幸せでいていい
幸せ
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