独り芝居/江奈
去年の冬に貰ったポインセチアが枯れてしまった。
部屋の端っこで鉢とそこからしわしわになった幹だけが突き刺さって存在を色のないものにしている。
花は責めない。
わたしが悪いのに申し訳なさそうにしているかのよう。
水もあげていたし休みの日には太陽にも見せていたのに。
わたしはすぐ花を枯らしてしまう。
花の咲かない観葉植物でさえも。
「足りないのかしら愛情が」
ぽつりと呟くとみるみると部屋中が寒く感じる。
冷たく香る色のない匂いがどこからか入ってきてわたしに言う。
「独りよがりなのよ結局ね」
分かってるわよと少し拗ねて、いつか来るだろう春をいつもより愛おしく思うのだ。
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