群像/生田
夜、駐車場で、コアントロー、コアントロー、と男が呟いていた。絞めつくような夜気に当てられたのだろうか、もしくは酒気か、三方を囲むビルディングは夜の店であったから酒に呑まれた人間であっても珍しくはなかった。その横を通り過ぎた少年が400ccのバイクにまたがり、鍵を回し、火を点ける。ドゥル、ドゥルルと不機嫌そうな声が街の喧騒に紛れ込む。エンジンが暖まるのを待つついでに先ほどの男の方を見ると、男はうつむき吐いていた、吐きながらもコアントローと呟いていた。男の身体の何処かに蓄積していたコアントロー、身体の何処かを通ってコアントロー、男の口から吐き出されたコアントロー、が駐車場に散らばっていったコアントロ
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