ベリーグッドの正体/カンチェルスキス
バスに乗ってたら
13番目のバス停で
ある男が乗ってきて
いちばん前の
広がる窓の席に座った
明るい緑の
Tシャツと
三本ラインの入った
黒のジャージ
靴下の足は
ふかふかのスリッパ
だった
首が肉に埋まって
剃り残したもみあげが
長く続いてる
すわった腹の肉で
Tシャツがゆるく
カーブしてた
そいつは
後ろや
横を急に向いたりした
含み笑いで
バスに揺られてた
楽しいんだろう
貧乏揺すりが続き
ときどき低く
唸ったりした
終点になると
運転手に声をかけられて
夢の時間から覚めた
男は無
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