夕暮れ時の・・/
ゆびのおと
薄墨色に暮れかけると
そこは
沼の底
ゆっくりと
沈み込む
響かない 足音
重く
さらに重く
山あいの道
影さす 道
ツタの這いまわる 木々の茂る
細い 細い 道
「シズミタマヘヨ キミ」
あおいみどろの
胞子
あしもとから
ふわふわと漂いだし
濃密に 絡みつき 緑に かすかな光を反射し
指先に
鼻腔に
脳に
まとわりついて
あおい みどろの いきものに 染めようと
眠りの 森に 沈めよう と
たくらむ
夕暮れ
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