木枯らしがぼくを飛ばしていった/
あ。
様々な声の重なりが
演奏会なのか命の叫びなのか
少しだけ考えたりしたけどさ
大して重要ではないとすぐに気付いた
重要なことってさして多くはない
あの時きみが何で泣いていたのか
側の茂みで鳴いていた虫はなんだったのか
何度目かの木枯らしに乗って流されて
過ぎた季節の片隅に根を下ろす
いつか咲いて、いつか散るのだろうね
思い出すのも面倒になったから
氷みたいな指先を手のひらでくるんだ
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