ささくれる/タマムシ
秋がささくれて冬になる
きっと もう
と、つぶやいているときでさえ
確実に近づいてくるものと そして
確かに遠ざかってゆくものとの あいだで
音もなく消えてゆく そのときのわたしをどうか
忘れないでいられたらと 祈りたくなる
それは はかない願いであることを
自覚することの淋しさに
ささくれる
弱いこころは似ている
そんな季節のうつろいの中で
静かに消えてゆく いつかの景色のように
痩せた色 そして
同じように痩せた指の
ささくれのいたみに
わたしは じっと耐えている
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