ノーバディ・ノウズ・ユー ーバブルー/……とある蛙
 
謄本

あいつは一言
「出て行きな。
 あと十日だけ待ってやる」
十日で何が出来るものかい。
「も少し待ってはくれまいか」
地面に額をすりつける。
「いや待てない」
と大音声
それでも無理に懇願しやっともらった二週間。

しかしあっという間に二週間
なんとあいつは引渡命令携えて
執行官とやってきた。
結局俺は宿無しに
結局悲しいホームレス
ポケットにあるのは千円三枚
三千円

田舎じゃ食えないホームレス
変な形で東京へ
住まいがなければ仕事はない。
深夜喫茶で暇つぶし、
そのうち路上で寝転がり、
働く気などは消え失せて
そうかと言っても死ねないもので
いまでは上野を
塒に残飯漁り
生まれたときからのように
ホームレスという名の乞食暮らしさ。

あれっ もういねえか。
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