Sympathy for the end/木屋 亞万
 
森林が燃えている
紅葉ではない
揺らめく赤い糸の群れが
木々の頭上を埋め尽くす
繰り返すこれは紅葉ではない
避難できるはずの動物さえ
押し寄せる火の糸に搦めとられ
黒い煙を胸の中に押し込まれている

赤い血潮に洗い出されるようにして
頭髪しか見えていなかった木々たちの痩せこけた身体が
次から次へと露わになる
不完全な骨格は黒々と焼け焦げて光沢を放ち
崩落した枝幹は足元に転がる小鳥の白骨を隠そうとする

大火の波はドミノのように木々を押し倒し
身にまとう木の葉を剥ぎ取っては燃やしていく
涙すら出ぬ木々の声なき声は乱暴な男に蹂躙されながら
黒い煙の群れとなって天へと
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