視砂の岸辺/小池房枝
 
砂場で砂あそびの子どもたち、そろそろお帰り
うねうねと前線がやってくる
天気が崩れて落ちてくる
日没とともに

砂場で砂あそびの子どもたち、そろそろお帰り
もう十分楽しかっただろう?
潮が満ちてくる
ごはんはうちで食べておやすみ

寄せて来る波の音も風の音も
ずっと聞こえてはいただろう
少しでも深く掘ろうとすればすぐ湧いてくる水も
とても苦かったはずだ

元はといえば
陸に落ちた雨粒たちが海へと流れて作った砂嘴だ
砂洲の中には
幾つもの砂場があるけど逆ではないよ

洗われて均されて
浚われて行くことどもだけがほんとうなのだから
砂場で砂あそびの子どもたち、そろそろお帰り

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