路面電車/バンブーブンバ
 
大きな家並み
さらさらと消えていく
小さいものは遠い
遠いものは小さい
当たり前のこと
当たり前のことなのだけれど
座席にまぁるく
またひとまわり
小さく白い母
毛繕いする風
瞼の裏に
あえかな光
名前のない夢模様
少しでも軽く長くと
膝上のカバン持ちあげて
無人の車掌室
速度メータなぞって
胡乱な傾きに抗いたかったのだけれど
踏切が堰き止めた
ランドセルの群れ
さらさらと消えていく
さらさらと
消えていく



一つの反響
列車は大きな弧を描き
モデラートに
夕陽を抱くから





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