ビル/
木屋 亞万
く
去りゆく背中も美しい
野原ビルは色気づき
ミラーガラスのサングラス
かけてみたけどその女
今ではどこにいるのやら
人気の消えた真夜中に
月を眺めて泣いたのさ
星も逃げ出す暗闇に
ぽっかり浮かぶ穴一つ
野原ビルは25歳
恋愛経験未だなし
地に足着かずにふわふわと
穴に向かって飛んでいく
全身硬くこわばらせ
穴が輝く空めがけ
蜘蛛のように白い雲
噴き出したまま
眠りに落ちた
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