忘れられない言葉/南波 瑠以
 



 「みなさんに明日が来ることは奇跡です。それを知っているだけで、日常は幸せなことだらけで溢れています。」
これは「余命1か月の花嫁」のドキュメンタリーの中で出てきた言葉だ。
この言葉を最初に聞いたのは2年前の初夏。24歳にして末期の乳がんと闘う長島千恵さんを映したこの番組を見て、私は涙が溢れて止まらなかった。
「いつも病室で何してるの?」
という恋人の問いに対して、千恵さんが
「生きてる。」
と答えを返した場面も深く心に刻まれている。だがこの時、すでに余命は1か月。そのことは千恵さんには伝えていなかったが、彼女自身、自分の命が長くないことは感じていた。そんな、明日が来る
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