雨のなかのゴルフ/吉岡ペペロ
 
九時三十二分

全二十組がショットガンスタートする

夜来からの豪雨もものともせず

ゴルフコンペは決行された

雨のなかのゴルフは暑くないという点ではいい

電解質の補給を考えなくてすむ

朝一のドライバーは良かった

そのあとの六番アイアンも良かった

あとは三十ヤードのアプローチを残すだけだ

これもピンそばに寄せることができた

ウェッジのフェイスの匂いを嗅ぐ

芝の緑と雨の香がする

グリーンに足を乗せ振り向くと

うしろの組が二打目に向かっているのが見える

雨が傘を叩いていた

キャディにボールを拭いてもらう

この白いボールをあのカップに入れるのだ

キャディが祈りをこめて拭いてくれる

のぼりで最後カップいっこ分スライスのライン

ボールはカップ手前で失速し力なく右にきれていった

フロントナインが始まった
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