夕陽の妖精/
草野大悟
妻が ショートステイで病院に行って三日目
風呂上がりにひとり ビールをのみながら
幼なじみの山に沈もうとしている夕陽を
パンジーやビオラやパキラやテーブルヤシたちと一緒に眺めている
窓から刑務所の塀が見える
風がびゅーびゅー吹いている
桜は葉を散らし裸になった
旅人の木が泣いている
鉛色の空
ミルキーブルーのわずかな雲間からとびだす 夕陽の妖精
ほほえんだ前歯が
はじめて会ったあの日のように
ヴァーミリオンに輝いている
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