やっぱりおおかみ/角田寿星
よろこびを回して
手オルガンが 楽しいしらべを奏でたとしても
それは おれのものでない
くろい影の おおかみの おれは
両手をポッケに つっこんで
枯れ葉を 踏みしめる
9
(おれに にたこは いないかな)
ヘラジカの遊園地が 閉園するまで
一日中 そこに いてしまった
どうしても 去ることができなかった
10
夜の
ウシの街を あるく
さびしいのは なれてしまった
なんども なんども
そんな夜を あるいてきたから
はらぺこなのは いつものこと
おおかみが はらぺこなのは昔から
さけられない 宿命だから
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