ウーさんとサーさんとンーさんとクーさんとサーさんとイーさん/ヨルノテガム
 
ってくる

サーさんの弟が
サーさんに耳打ちしたかと思うと サーさんが声を出した

「仕事が入ったよ」

それまで体を揺らしていたウーさんも、
ニヤツき始めたンーさんも
他のクーさんもイーさんも そしてサーさん兄弟も
皆、潮が引いた後の貝殻のように むっくり肩をまるめて
向こうに歩き出して

眼光鋭いクーさんだけが 立ち止まりながら
タバコの火を点けて 汽関車のような煙を吐き出すと
すぐにそれを 踏みにじって捨てたのを よく憶えている

彼等の誰かとキャッチボールした気がしたんだけど

もう

それっきりの日だったね
















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