始まり/如月 小兎
 
手首を拘束して
気が狂ったかのように叫び続けて
流血塗れで愛の言葉を囁いて
「僕は生きてる」と呪文を呟いてみて
静かな部屋で枕を濡らしてみても
世界は何も変わらずに
僕の存在を消そうとするから
窓を開けてみた

真っ青な空に吐き気がする
眩しい光のせいで失明しそう

それでも世界は何も変わらない

そんな世界を壊そうと思ったので
僕は拘束された手首を引きちぎって
這いずりながら外に出た
戻る   Point(3)